
世界 "オンライン" 音楽紀行|海の向こうのあの街に想いを馳せるプレイリスト
飛行機を降りた瞬間に感じる湿度。
免税店から漂う、濃い目の香水の匂い。
雑に押されたパスポートのスタンプ。
全く読めない駅の看板。
いきなり話しかけてくる知らない人。
極端に弱いシャワーの水圧、etc...
異国への旅の風情のひとつひとつが恋しい、今日このごろ。
思い出深い、あの国は、あの街は、あの人は無事だろうか。いつか行きたいと思っていたあの場所は、今どうなっているのだろう。
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先行きの見えない不安&不自由な生活の中でも、いつかの旅の記憶を思い出したり、異国への好奇心や憧れを胸に抱いて、楽しく暮らしていけるよう、今週のTRACK SOUPは「海の向こうのあの街に想いを馳せるプレイリスト」をお届けします。
この週末は、オンライン音楽紀行に出かけてみませんか?
▶︎ プレイリスト
01. ハイウェイ <Alternative> / くるり
02. 南国電影(feat.横山剣) / VIDEOTAPE MUSIC
03. サン・フェルドナンドまで連れていって / 清 竜人
04. Thailand / 王舟
05. Homesick in Calcutta / U-zhaan, Cornelius
06. イスタンブール・マンボ /ムーンライダーズ
07. モルダウの流れ / 斉藤和義
08. 白樺の国 feat. Takuji Aoyagi / LEO今井
09. パリ、フランス / ギリシャラブ
10. リスボン(AI Kent Version) / 曽我部恵一, AI Kent
11. 地中海の感傷 / 松任谷由美
12. SAND BEIGE -砂漠へ- / 中森明菜
13. 南洋航路 / おおはた雄一
14. TANGO / 坂本龍一
15. Brazil / Cornelius
16. Jamaica Song / ハナレグミ
17. VIVA CALIFORNIA / 鈴木茂
18. バンクーバー / Superfly
19. 北極 / 細野晴臣
▶ LINER NOTES
イントロダクションは、《僕が旅に出る理由はだいたい百個くらいあって》という歴史に残る名フレーズで始まる、くるりの『ハイウェイ』。
さて、まずはアジアに足を伸ばしましょう。
夜の台湾の繁華街、ギラギラ輝く檳榔ショップやマッサージ店のネオンサインが瞼に浮かぶ、VIDEOTAPE MUSICの『南国電影』。続く、清竜人の『サン・フェルナンドまで連れていって』の「サン・フェルナンド」とは、フィリピン北部ルソン島にある都市の名前。MVのコメント欄に書かれた「連れて行くところに馴染みがなすぎて笑う」という意見に、160件以上の「いいね」がついており、心が和みます。
ステレオタイプなタイのイメージとは一線を画す、王舟のやさしくて穏やかな『Thailand』、タブラの音が切なく響く、U-zhaanとcorneliusによる『Homesick in Calcutta』で、異国情緒に浸ったら、ムーンライダーズの『イスタンブール・マンボ』になだれ込みましょう。その題の通り、オリエンタルな音楽のエッセンスと、ラテン音楽「マンボ」の調子が混ざった、無国籍カオス炸裂の展開が胸熱の一曲です。
舞台はヨーロッパ方面へ移動します。
哀愁漂う斉藤和義の『モルダウの流れ』は、東欧チェコのプラハを流れるモルダウ川を讃えた連作交響詩《わが祖国》第二曲、のカバー曲。スウェーデンに自身のルーツを持つ、LEO今井の『白樺の国』は、微熱を帯びた、静かな歌唱が印象的。京都のバンド、ギリシャラブの『パリ、フランス』は、フランス人監督の撮るフィルムのような雰囲気。例えばパリの街で演奏する様々なアーティストを記録したヴィンセント・ムーン監督のA Take Away Show とも何か通じる同じ気配を持っているように感じます。
《リスボン、あぁ、なんていい響き、行ったことはないけれど》と無邪気な憧れを朗らかに歌う曽我部恵ーの『リスボン』で気持ちを弾ませたあとは、アンニュイな大人の憂いが満載の松任谷由美の『地中海の感傷』を。地中海を越えて反対側のアフリカ、サハラ砂漠を題材にした中森明菜の壮大なバラード『SAND BEIGE -砂漠へ-』も必聴です。
いつかは参加してみたいクルーズ船の旅。おおはた雄一の『南洋航路』で、大陸間をワープします。
そして、坂本龍一の『TANGO』。タンゴとは、スペインからの移民たちがルーツとなってアルゼンチンのブエノスアイレスを中心に発展した舞踊形態。転調を繰り返す、タンゴ特有の不安定かつ耽美なメロディラインがたまりません。この曲は、大貫妙子と演奏したバージョンもありますが、味わい深い坂本龍一ソロver.を推します。
続いて、Corneliusの『Brazil』は、テリー・ギリアム監督の映画「未来都市ブラジル」のテーマソングでもある「Aquarela do Brasil」のカバー。同じくカバーソングでハナレグミの陽気な『Jamaica Song』と続けて聴いていきましょう。こちらのオリジナルはアメリカの ハモンド・オルガン奏者/プロデューサーのブッカー・T.ジョーンズ。
最後は北米へ。1979年にリリースされた鈴木茂の『VIVA CALIFORNIA』は昔から、みんなの憧れのカリフォルニア讃歌。詳しい意図や背景はよくわからないけれど《 バンクーバーシティ 最後の中継地 》と高らかに歌う、Superflyの『バンクーバー』を聴きつつ、旅のフィナーレは、細野晴臣のカッコいい『北極』で〆ましょう。
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以上19曲、計1時間24分の "世界オンライン音楽紀行"プレイリストでした。
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